電圧レベル変換やパーシャルパワーダウンに必要な付加機能(入力トレラント、パワーダウンプロテクション)とは?

一般的なロジックICには入力端子と出力端子に保護用のダイオードが搭載されています。入力トレラントやパワーダウンプロテクション機能を持つロジックICでは、電源側のダイオードを搭載していません。 このことによりロジックICの電源電圧を超える電圧を印加でき、異電圧で動作するIC間の信号電圧レベル変換やバスシステムなどに接続したブロックをパーシャルパワーダウン(機器内の使用していないブロックを部分的にオフ)することが可能となります。
当社では、入力側のこの機能を入力トレラント、出力側をパワーダウンプロテクションと呼んでいます。
コアICと周辺ICとのインターフェースの役割を果たすCMOSロジックICには、入力トレラント機能やパワーダウンプロテクションといった付加機能の充実が重要になってきています。
以下のFAQも参考にしてください。

入力トレラント機能を使った電圧レベル変換

入力トレラントとは、VCCに電源が加えられている状態または0Vの時に、動作範囲内で、電源電圧(VCC)以上のレベルの信号を入力できることを言います。この機能をもつ製品を使用することで、高い電圧から低い電圧のレベル変換ができます。

<電圧レベル変換例>
5V→3V電圧変換:74VHC や74LCX を使用。 3V→1.2V 電圧変換:TC74VCX を使用。

一般的なCMOSロジックICは等価回路に示す通り、入力側はESD保護などを目的にダイオードを入れています。出力側は寄生ダイオードが存在します。入力ー電源間のダイオードは、電源電圧VCC以上の入力電圧を印加、または電源オフ時の入力電圧が印加されるとオンして大電流が流れ素子を破壊することがあります。このような場合は、入力ー電源間のダイオードが無い入力トレラント機能を持った製品を使うことで、破壊を防ぐことができます。

入力トレラント機能を使った電圧レベル変換

パワーダウンプロテクション機能の応用事例

2つの電源(VCCA,VCCB)が存在するシステムにおいて、消費電力を下げる為にVCCBのシステムを立ち下げる場合があります(パーシャルパワーダウン)。例えばVCCBのシステムにパワーダウンプロテクション機能が無い74VHCシリーズを使用した場合(ケース1)、VCCA>VCCBの条件が成立すると、74VHCシリーズの出力-電源VCCB間の寄生ダイオードがオンして大電流が流れ、素子を破壊することがあります。パーシャルパワーダウンに対応する場合は、パワーダウンプロテクション機能を持つ製品(出力に寄生ダイオードが無い製品:74VHCTシリーズ、74LCXシリーズ、74VCXシリーズ)を用いることで、破壊を防ぐことが出来ます。(ケース2)

ケース1.パーシャルパワーダウン不可
ケース2.パーシャルパワーダウン可能

パワーダウンプロテクション機能を持つCMOSロジックIC