伝導度変調とは何ですか?

(a) IGBTの記号(Nch型)
(a) IGBTの記号(Nch型)

IGBTなどのバイポーラー(*1)製品群は、オン状態のとき高抵抗のドリフト層にキャリアが注入され、その抵抗値が変化(低下)します。これを伝導度変調(もしくは導電度変調)と呼んでいます。

IGBTを含め高耐圧スイッチングデバイスにおいて、ドリフト層と呼ばれるN層は不純物濃度が低くかつ距離も長く設計されており、抵抗値が非常に大きくなっています。下図のように、IGBTはゲート・エミッター間およびコレクター・エミッター間が正バイアスされた時、オン状態になります。この時、コレクターのP層からホールがN層を経由してN層に注入され、N層のキャリア濃度が上昇し、元々大きな抵抗特性であったN層の抵抗値を低下させます。その結果、導通に伴い抵抗値が低下し、順方向の電圧降下が抑制され低オン電圧特性のスイッチングデバイスとなります。

この導通時の伝導率(あるいは抵抗率)の変化が、伝導度変調と呼ばれる現象です。

(*1) 半導体デバイスの導通状態時、その動作の担い手が電子(エレクトロン)と正孔(ホール)の2種類存在するデバイスのことを指します。どちらか一方で動作する製品はユニポーラーデバイスと呼ばれ、代表的な製品としてMOSFETが有ります。