汎用ロジックICの各シリーズの違いは何ですか？
汎用ロジックIC（CMOSロジックIC/ワンゲートロジック（L-MOS））は、動作電圧範囲、伝搬遅延時間（スピード）、出力電流、入力トレラントなどでシリーズ化（ファミリー化）されています。
これらは電子機器の制御基板や基板間のインターフェース部に、信号の変換や分配、切り替えなどを目的に多く使用されています。
各シリーズの特長は以下となります。
- スタンダード (TC40/TC45、TC4S/TC4W)：
幅広い動作電圧（3～18 V）をカバーしており、5 V、 10 V、 15 V の 3点の電源電圧条件下で電気的特性を保証しています。 - ハイスピード (TC74HC/TC74HCT、TC7S/TC7W/TC7WT)：
5 V系電源で一般的に使われているシリーズです。 - アドバンスト (TC74AC/TC74ACT)：
高出力電流（24 mA）であるため、 伝送ラインドライバーなどに適します。 - ベリーハイスピード (TC74VHC/74VHC/TC74VHCT/74VHCT/TC74VHCV/74VHCV、TC7SH/TC7WH/TC7PH/TC7SET)：
高速化と低ノイズ性能を両立させ、5 V 軽負荷の条件では最も高速動作を実現しており高速な動作が求められる用途では最も一般的に使われています。 - 低電圧システム対応：
ローボルテージ（TC74LCX/74LCX、TC7SZ/TC7PZ/TC7WZ）とベリーローボルテージ（TC74VCX、7UL）があります。
ローボルテージはVCC = 3.3 V で、従来の 5 V 系の 高速ロジック (アドバンスト/ベリーハイスピード) のスピードを達成しているとともに、2.5 V・1.8 V での動作を保証しているシリーズです。
ベリーローボルテージは更なる高速化も実現し、VCC = 1.2 V（7ULシリーズは0.9 V）で動作を保証しているシリーズです。
表-1に汎用ロジックICの主要特性を示します。
タイプ |
シリーズ名 |
CMOSロジックIC シリーズ番号 |
ワンゲートロジック (L-MOS) |
動作電圧範囲 |
伝搬遅延時間 *1 tpLH, tpHL (ns) |
出力電流 *2 |
入力トレラント |
出力パワーダウン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5 Vシステム 対応 |
スタンダード |
3 to 18 |
200 |
±0.51 |
△*3 |
- |
||
ハイスピード |
2 to 6 |
23 |
±4.0 or ±6.0 |
△*3 |
- |
|||
4.5 to 5.5 |
31 |
- | ||||||
アドバンスト |
2 to 5.5 |
8.5 |
±24 |
- |
- |
|||
4.5 to 5.5 |
9.0 |
|||||||
ベリーハイスピード |
2 to 5.5 |
8.5 |
±8.0 |
● |
- |
|||
10 |
||||||||
4.5 to 5.5 |
9.5 |
● |
●*4 |
|||||
1.8 to 5.5 |
8.5 |
±16 |
● |
● |
||||
低電圧システム 対応 |
ローボルテージ |
1.65 to 3.6 |
6.5 |
±24 |
● |
●*5 |
||
| ベリーロー ボルテージ |
1.2 to 3.6 |
4.2 |
±24 |
● |
● |
*1：代表製品（TC4001, TC74HC244, TC74HCT244, TC74AC244, TC74ACT244, 74VHC244, 74VHC9541（An-Yn）,VHCT244, VHCV244, 74LCX244, TC74VCX244）の伝搬遅延時間（Max値 at -40～85 °C）です。TC4001のみ25 °CのMax値。
*2：出力電流の値は、データシート内のDC特性で規定されています。これとは別に絶対最大定格でも出力電流を規定しています。
*3：TC4049BF/BP、TC4050BF/BP、TC74HC4049BP/BF/BFT、74HC4049D、TC74HC4050BP/BF/BFT、74HC4050Dは、入力トレラント機能が付いており、信号レベルのレベルダウン変換が可能です。
*4：TC7SETシリーズは、出力パワーダウンプロテクション機能はありません。
*5：TC7SZのfSVパッケージ製品は、オープンドレインを除いて、出力パワーダウンプロテクション機能はありません。
関連リンク
以下の資料にも関連する説明がありますので、ご参照ください。
