ESD(Electrostatic Discharge)試験とはどのようなものですか?

デバイスや電子機器などが静電気放電(ESD)に対して、どの程度の耐性を持つかを判断する試験をESD試験と呼びます。ESD試験はいくつかの種類がありますが、デバイスレベル試験とシステムレベル試験に分けられます。これら試験の結果は破壊するか/しないかのGo / No-Go判定です。

  • デバイスレベル試験:
    この試験は静電気が生じにくいように管理された電子機器工場などの製造現場で、製造時にデバイス(ICなどの部品)がESDによって劣化や破壊しないことを確認するために行われます。
    デバイスレベルのESDテストの目的は、ICなどの被試験デバイス(DUT)が、比較的小さなエネルギーのESDによって劣化または破壊されるかどうかを判断することです。 
    Human Body Model(HBM)、Machine Model(MM)、Charged Device Model(CDM)などがあります。試験対象は全ての端子です。デバイスレベルのESDに対する保護はそれぞれのデバイスに内蔵された保護回路で行われます。
  • システムレベル試験:
    この試験は日常の環境下(USB端子にケーブルを接続するときなど)で電子機器などが劣化や破壊しないこと確認するために行われます。
    IEC 61000-4-2試験があります。試験対象はコネクター・タッチセンサー・アンテナなどを経由して外部に露出したI/O端子です。
    デバイスレベル試験で印加されるESDを想定した試験波形よりも大きなエネルギーを持つ試験波形で行われます。
    図-1はデバイスレベル試験(HBM)とシステムレベル試験(IEC 61000-4-2)のテスト波形の比較です。試験条件(インピーダンスなど)が異なるので正確な比較ではありませんが、システムレベル試験の電流がはるかに高いことが分かります。
    このため、デバイスに内蔵された保護回路だけでは保護は難しく、外部に追加されるESD保護ダイオードと合わせて保護を行います。
図-1 デバイスレベル試験(HBM)とシステムレベル試験(IEC 61000-4-2)の試験波形比較
図-1 デバイスレベル試験(HBM)とシステムレベル試験(IEC 61000-4-2)の試験波形比較

最近ではICのI/O端子やESD保護素子などのデバイスにおいて、ESDのような短パルスを印加したときの特性をデータシートなどに提示するようになってきています。
この特性を用いることで、デバイスを破壊することなくシステムの対ESD脆弱性の把握やESD保護設計(ESD保護ダイオードの選択など)ができます。
このような測定法をTLP(Transmission Line Pulse)測定と呼びます。当社の新しいESD保護ダイオードでもデータシートにTLP波形を参考値として載せています。
FAQ:“TLP試験とは”を参照ください。
TLP試験とは

図-2 TLP波形掲載例(DF10G5M4N)
図-2 TLP波形掲載例(DF10G5M4N)

関連リンク

TVSダイオード (ESD保護用ダイオード) の製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。